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2018年に広島を中心に起きた「西日本豪雨災害」、まだまだ記憶に新しい方も多いと思います。
しかし今から5年前、広島県では同じような豪雨が原因で大きな災害が起きたことを皆さん覚えていますか?
2014年に広島県広島市の北部、安佐南区・安佐北区エリアで起きた「広島土砂災害」です。
災害が起きて2019年で5年。災害が起きた八木地区にその災害を後世に伝えるための伝承施設建設を計画しているようです。
災害当時の状況や原因を紹介しながら伝承施設について今回は記事にしようと思います。
災害が発生したエリアと当時の天気模様を知る
災害が発生したのは8月20日明け方。
この時、前日19日の夜から20日の明け方にかけて起きた集中豪雨が直接の原因でした。
集中豪雨が起きたのは
- 広島市安佐南区八木・緑井・山本
- 安佐北区の可部
を中心とした狭いエリア。
この集中豪雨は上空で発生した線状降水帯が原因で「数百年に1回程度より遥かに少ない確率で発生した」といわれるほど記録的な集中豪雨だったと言われています。
集中豪雨を起こした線状降水帯とはなんなのか?
(前略)
線状降水帯という言葉は,2014年8月の広島県での大雨以降,頻繁に使われるようになったようである。
このこともあり,多くの人たちは,線状降水帯という言葉から,「線状の降水域が数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞することで,大雨をもたらすもの」を想像すると思われる。
事例によって多種多様であり,例外も数多く存在するが,加藤(2015)では,線状降水帯を「大きさは,幅20~50km,長さ50~200kmであり,数時間ほぼ同じ場所にとどまるもの」としている。
(中略)
線状降水帯の実体は,複数の積乱雲の集合体(メソ対流系の一種)である。
(以下略)
まぁイマイチよく分からないですよね。
次々と発生した積乱雲が群をなし塊となって数時間にわたり同じ場所に通過・停滞する豪雨域って感じですね。
要は同じエリアで停滞する積乱雲のかたまりってわけです。
2014年の広島市の降水量
広島市の2014年降水量データは以下の通り。
月 降水量(mm) 01 45 02 42 03 159.5 04 79.5 05 114.5 06 119 07 283 08 337.5 09 117 10 143.5 11 63.5 12 69 合計 1573
注目して欲しいのが色付けしている8月データで降水量が337.5mm。
集中豪雨が起きた広島市安佐南区の八木・緑井・山本、安佐北区の可部の狭いエリアでの災害前後の降水量は3時間で200mm以上。
つまり広島市の8月降水量の2/3が狭いエリアに短時間で集中している。
データで見てもいかに異常な天候だったのかが分かると思います。
エリアを構成する土と都市の特徴にも問題がある
広島は中国山地より生まれた三角州を中心に発展した都市であり、県域の70%は山地を占めています。
そのため必然的に山を削ることで居住地を広げてきました。
そういった特徴のためがけ崩れや土砂災害が起こりやすい「土砂災害警戒区域」の数が全国でもトップであること。
また山を構成する土が土砂災害によって崩壊しやすい「まさ土」であったことも問題でした。
集中豪雨が直接の原因だが8月の大半が雨だったのも原因の1つ
8月の天気は以下の通り。
日 月 火 水 木 金 土 1 2 ☔ ☔ 3 4 5 6 7 8 9 ☔ ☔ ☔ ☔ ☀ ☔ ☔ 10 11 12 13 14 15 16 ☔ ☁ ☁ ☁ ☔ ☔ ☔ 17 18 19 20 21 22 23 ☔ ☔ ☔ ☔ ☁ ☔ ☁ 24 25 26 27 28 29 30 ☔ ☁ ☁ ☁ ☔ ☔ ☀ 31 ☀
この通り、2014年8月の広島市の天気は雨の割合が非常に多く地盤が弱くなっていたことも大災害になった要因の1つといえるでしょう。
広島土砂災害の最終的な被害
かくして上記で説明した数々の要因が
- それまでの雨もあり地盤が緩んでいた中で
- 記録的な未曾有の集中豪雨が
- 午前1時~午前4時の暗い就寝時間帯に
- 折しも密集した住宅地の後背にある「まさ土」で構成された山々を襲った
このような悪条件と重なった結果、
土砂災害 166ヶ所 土石流 がけ崩れ 107ヶ所 59ヶ所
このような大規模な土石流・がけ崩れが発生。
夜間だったこともあり死者数は
直接死 | 関連死 | 合計 |
---|---|---|
74名 | 3名 | 77名 |
にものぼり国内の土砂災害における死亡者数は過去30年間で最悪なものになりました。
土砂災害発生後の被害写真(被災エリアの1部)
八木3丁目土砂災害の現場から梅林駅側をみた景色
八木3丁目の被災状況
被災3日目の八木3丁目
土砂で崩れた八木8丁目の福祉施設
※全てWikipediaより出典
災害の恐ろしさそしてこの土砂被害を伝承するための施設を被災したエリアに建設予定!
この被害から約5年あまり。
被災した梅林学区の住民で2016年に構成された「復興まちづくり協議会」が伝承施設を整備する構想をまとめたそうです。
構想によると伝承施設は防災教育を主として地域住民の交流の場、災害経験の伝承、鎮魂の場を目的に2021年度開館を目標。
敷地面積は約400平方メートルで鉄筋2階建てを想定しており、施設内の構想は
- 1階が被災写真・映像といった災害当時のことが分かる展示スペース
- 2階は防災教育講座、被災者から被災した当時の体験を聞ける場として2つの研修室
- 屋外にいつでも足を運べる鎮魂の場
を設けるそう。
施設の建設は八木3丁目を通る市道の長束八木線周辺のエリアを予定らしいです。
わたし的にはこの施設建設は賛成!なぜか説明するよ
前の記事でアストラムラインの延伸計画や
[kanren postid="3450"]サッカースタジアムの建設予定地が決定したこと
[kanren postid="3511"]について紹介しました。
地方都市ということもありますがとにかく広島はこういった事業について
「財源的なものなのか土地柄なのか整備されるまでが非常に遅い」
と思うからです。
急務である災害対策も同じく整備が遅いだけでなく
- 災害の教訓を活かしきれていないこと
- 土地の特色の理解不足や災害の伝承が上手くなされていない
ことが挙げられます。
災害の教訓を活かしきれていない
広島市はその地形の特徴上、山間部を削って居住地を広げているとお話しました。
そのため度々土砂災害の被害に見舞われています。
近年だと丁度20年前の「1999年に6.29豪雨災害」がありこの時も広島市で災害が発生しました。
しかしこういった経験があるにも関わらず、行政の不手際、避難勧告の遅れなど教訓が活かされていません。
この災害後、整備など災害対策を行いますが十分に整わぬまま2018年の西日本豪雨で再び大きな被害が出ています。
土地の特色の理解不足や災害の伝承が上手くなされていない
2014年で大規模な土砂災害が起きたエリアが
- 2000年前から約150年~400年周期で大規模土石流が発生するエリアで過去7回にわたり起きていること
- 土砂災害を起こしやすい「まさ土」で構成されていること
など当時住民が知らないことから見ても特色の理解不足や災害伝承が進んでいないということです。
このことから今後、被害を最小限にするためにもわたしは伝承施設の建設に賛成ですね。
今日の記事まとめ:災害はいつ誰に降りかかるか分かりませんから事前の準備をしっかりと!
そんなわけで長々と紹介させて頂きました。
どれだけ被害が出ても時間経てばたつほど経験は風化し忘れさっていくもの。
1人が1人が災害に対してどうすべきかを心掛け万全の準備をしておく必要がありますね。
準備にも色々ありますが欠かせないのが防災キットを家庭で準備しておくことではないでしょうか。
こんな感じですね。非常食や懐中電灯などがセットになってますのでいざって時にこれを持ち出せばOKです。
近年ゲリラ豪雨など気候変動で天気も不安定でいつどこで何が起こるか分かりませんから防災の自覚をもって生活していきたいですね♪
今日はそんな感じです。
最後までお読みいただきありがとうございます。